ボスは迷文家シリーズ

シアトルの日本レストランで働く人たち
メヒカノが一番


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アメリカは多民族国家である。当然のことながら、様々な国から移住してきた人が多い。不法労働者も 多くいる。不法労働者の数が一番多いのは南の国境から不法侵入するメキシコ人であろう。次に僕が 知っているのは日本人留学生や留学崩れの連中だ。LAにはそういう人たちが多いと耳にしている。僕 が知る限り、シアトルの日本食レストランは、きちんと許可をとった学生たちしか雇わないところの方 が多い。留学をおえると一年間のプラクティカル・トレーニングのビザがおりるので、留学で学んだこ とを実践で訓練する為のプログラムなのだが、実際には留学を終えてから日本レストランでウエイトレ スをやる人たちばかりが目立っている。経済やアートを学んだ後で実践がウエイトレスということもあ るまいにと思うのだが、それは将来の目標だとか大学で学んだ専門分野への情熱のもちかたの問題にあ ると思われる。当然、それが仕事の質に現れる。その点、裏方として働くメキシコ人は凄い。仕事への 意識の持ち方に凄みさえ感じさせる。なにしろ懸命に働くのだ。

何しろメキシコ人は働き者だ。無知なアメリカ人たちはメキシコ人をステレオタイプして怠け者だとか 約束を守らないという。たしかにそういう人たちもいるとは思う。しかし、僕がシアトルで見るメキシコ 人は良く働く。懸命になって働く姿を目にすることは気持ちがいいものだ。彼等は仕事を二つも三つも もって働いている。この店が終わるとあの店、、といった具合に働いている。僕の知り合いにラオス人が いるが、彼等もそうだ。難民としてアメリカにわたり、家族5人が7Daysフルで働くのだが、誰もが 2、3の仕事を持っている。そして三年めには自宅を購入し、4年目にはビジネスをおこす。

ところが日本人たちは、酒とタバコの日々を繰り返し週末ゴルフに夜中カラオケ。自分たちの稼ぎをそん な刹那的な生き方への怠惰な快楽だけに浪費している。お金が溜まるとラスベガスですってくる。そんな 生活だ。家を購入しようという気持ちを持った人たちはごく僅か。こんな生活態度をニヒル(といえば格 好がいいが、実際には気概がないだけの敗北者)な職人気質として気取ることが彼等にとっては唯一の 存在の証明なのだろうか。全ての職人がこういうわけではないが、何故かこういう人が目立つ。レストラ ンの職人に多い。そんな彼等は横柄な態度をとる。見ていて気分が良いものではない。その点、メキシコ 人たちは気分がいいのだ。

日本人の誰もがそうだというわけではない。やはり意識の高い人達は自分の店を目指しているし、人生や 世の中を僻んでみることもない。店を向上させることだけを考えている。僕はそんな店に行く。シアトル にも数軒ある。

そんな店にも日本人学生アルバイトが働いている。彼等は従業員同士の会話でも横柄で、客に対しても同 じ日本人と思っているからか横柄とまでいわなくとも礼を逸した態度で接する。日本で訓練を受けていな いかシャイだからと思うようにしているが、目に笑みが感じられることも少ない。客の方が煽てなければ ならない感じにさせられることもある。ところがメキシコ人従業員たちは、汗かいて働きながらも声をか けるとニッコリした言葉を投げかえしてくる。オーナーたちの多くから出る言葉は、メキシコ人は時間前 にきてタイムをつけずに段取りを始めるが、日本人は遅れてきてその理由を何かの所為にして謝りもしな いそうだ。

一度、こんなことがあった。レストラン入口脇で日本人従業員がウンコ座りをして喫煙中。当然、客は タバコの煙に巻かれながらドアを開けて内に入ることになる。嫌煙者が多いアメリカ人向けの商売をし 乍ら、従業員のこんなマナーを許すオーナーもオーナーなのだが、実はオーナー自らが従業員に模範を 示していたのだ。僕は、この点に関してきつく注意をさせてもらった。何しろ、このウンコ喫煙従業員 は煙を客である僕にふきかけながら「あっ、どうも」と言ったのだ。嫌煙者の僕はこの場でこの店を後 にしたかったが、とりあえずクレームを入れなければならないと思った。

こうした従業員の態度の悪さは店のオーナーの責任である。それを客から言われて直しているようでは どうしよもないのだが、アメリカ人はこういった点に煩いのである。僕は27年連れ添った女房がアメリカ 人だったし基本的にアメリカ人との付き合いが中心なので、彼等彼女らが何を嫌い何に印象よくしているか を良く知っている。多くの日本人がそうであるように、日本人レストランオーナーたちは自分の意識レベル を基準として、良くないマナーを大目にみているのだが、本人たちにもその傾向があるから煩く言わないの であろう。その点がきちんと徹底されている店が一件あるのだが、僕の生活圏から離れている。

以前、プロ意識に欠ける日本人ウエイトレスのことについて触れたことがある。
サービス業におけるプロ意識の不足
質が低い日本人ウエイトレスはまだまだ多くいる。アメリカ人学生と比較して独立心確立の上で大きく 遅れをとっている日本人20代なので仕方がないといってしまえばそれまでだが、懸命に汗を流して働いて いても、接客態度がなっていなかったり、テーブルの客の立場にたって気を回すことができなかったら 欧米でのウエイトレス職は資格なしなのである。チップはサービスの程度によって支払われるのだが、その 点のシステムを理解していない人が多い。当然のことなのだが学生アルバイトが一番悪い。シャイだから だと思うのだが、きちんと相手の目をみて注文をとることができなかったり、言葉に礼を逸していること が多いのだ。お茶を頼んでも怒った表情で応対するウエイトレスが事務所近くのレストランで働いていた。 僕だけでなく他のアメリカ人の客に対してもそうだった。オーナーはそれに気づくべきなのだが、許してい たのだろう。しかし、その為に僕はそこの店には行かなくなったのだから、店としてみれば客への逆サービ スをしたことになる。その点、アメリカで生まれ育った日本人の子はアメリカ人として育っているから気持 ちが良いくらいしっかりしてい人が圧倒的に多い。

次はシアトルの日本レストランで僕が経験したことだ。「お茶をお願いします」、「ちょっとまっててね、 今もってきてあげるからね」。寿司職人にもこんなのがいる、20分前に出たマグロがでてこないので、、「マグロお願いしますね」、 「わかってますよ」と怒りを込めた返事。この男はあちこちの店を転々としている50代。彼が勤めはじ めると僕はそこへ行かなくなる。当然、オーナー達にはそのことを伝える。彼には、えばる事が職人の誇り と勘違いしている部分があるが、それはマスコミが作り上げた一つのスタイルを短絡的に真似ている だけでしかない。

我々四人が真剣に会話しているところを中断して、「カケそばの薬味は入れてだしましょうか、それとも 小皿で出しましょうか」という信じられないような質問をされたことがあった。小皿で出すことが一般的 だから確認なしでそうすればよいものを、こんな質問の為に客の会話を中断させたのだ。その無礼を考え ていないことになる。これは幼い頃から他人の会話を中断させることを無礼として教育されなかったこと によるのだから、日本での躾にこの点が欠けていたのであろう。懸命に仕事をやっているのだから良いで はないかと言われればそれまでだが、それではおチップを貰う資格はないのである。飛行機の整備士がそ んな仕事を許されないように、どの分野であってもいい加減な仕事は許されないのである。それを甘くみ ていては駄目なのである。

別の店では、大して混雑はしていないのに入り口の落着かない席に座らせられたことがあった。そこで テーブルを移っても良いですか?とそこの女主人の確認を求めたら、煩わしそうに舌うちされてしまった。 気分を害された僕は移ったテーブルからすぐに立ち上がって店を後にした。このように、日本レストラン の多くが接客の何たるやを知らない意識低い仕事をしていることが現実だ。アメリカのレストランでは考え られないことばかり。ここいら辺に、社交マナーにうるさいアメリカとそうでない日本の違いが出ている ような気がする。

因みに、舌打ち女主人はこの後勤め始めた格が高い寿司板前から、彼女がいると客が減る から店に出ないでくれと言われたそうだが、結局彼が店を去る結果となった。そして彼女は偶然にも僕が 所有していたコンドを購入したのだが、一年で居住者たちの嘆願によって引越しするはめとなった。規律 を守らないのだ。僕は日本人として恥ずかしかった。このレベルの人が日本レストランの経営をしていたら、 プロ意識もなにもあったものではない。

要は日本人の店に行って日本人従業員の働き具合をみていると、僕にはメキシコ人が素晴らしくみえて仕方 がないのだ。日本人の多くがステレオタイプをそのままリピートして、メキシコ人はルーズだと言っている ことを耳にするが、ルーズなのはメキシコ人でなく最近の日本人、特にアメリカで無目的に生きている日本 人たちなのだ。

日本出版の中南米の旅の本にも書いてある。南米人間特有のいいかげんさ、、。最近僕はペルーの旅をした。 日程はすべて同伴者に任せたので僕は直接手配をしなかったが、行き先々で我々を案内してくれたコーディ ネーターたちは、朝早くから夜遅くまで約束や時間を厳守して働いてくれた。日本人だったら嫌がる時間帯 までも懸命に働いてくれた。これでは余分にチップでもあげたくなる。チップとはそのようにしてもらうも のなのである。ところが日本人ウエイトレスたちの殆どの頭にはチップ稼ぎという気持ちがないからか、た だ汗を流して働くだけの人が多い。客から受けた自分の注文を客が満足するように出す為にキッチンと喧嘩 までするアメリカ人ウエイトレスとは大きく異なる。

僕が現在利用している店の日本人ウエイトレスたちは押し並べてシアトル日本人レストラン界ではトップ クラス。良いとか悪いとかいっても、日本へ行くともっと悪いのでどうしようもないのだから救いようが ない。彼等彼女らは、どんな格でもよいからイタリアレストランでも行ってサービス業の何たるかを勉強し て欲しいところだ。高額をとる日本レストランで安いイタ飯屋よりもサービスが悪いというのでは話になら ない。

おのざわショージ
2002年3月25日



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