ボスは迷文家シリーズ |
STP 2002 200MILES Bicycle Classic (Part 7)
坂、坂、坂、そしてゴールイン
二日目4時頃、僕は最後の急勾配の坂をあがった。最後のというには理由がある。STP後半160kmは 上り下りの連続で、それも長いものばかりだ。そしてロングビューをすぎてからの最後の80kmは長い 上りが続いて短い平坦地、そして再び長い上り、、こればかりを繰り返したあと、一気に下る。そして 同じような坂の連続が続く。これを80kmの距離続けるのだ。僕は、この最終ステージで疲れを見せる どころか、何と時速24マイルのスピードで登坂していた。時速40kmだ。これは身体がハイパーに なっていないと不可能なことなのであが、Phiten商品のおかげなのだろうか。
最後の80km、僕は一人で走った。綾乃ちゃんとコバタさんは僕の二時間後ろであった。坂が多い場所では どうしても自分のリズムを保たなければ上手く登ることができない。上りばかりだったので、僕はどんどん 進んだ。僕は一人でも彼等は二人だから良いと思ったのだ。途中の水補給場三個所で各20分計1時間待った が彼等の姿はどこにもいなかった。ポートランドはすぐ先だ。木下さんのPhitenのテントで待ち合わせる約束 になっている。僕はひとりで走り続けた。
息子と初めてSTPに出た時、彼は坂の凄さに驚いた。「Dad, look at that hill!」 彼はタンデムの キャプテンをつとめる僕に声をかけた。二日目初めての急坂をみてこう言ったのだ。父の応えは簡単。 「What hill, Ken?」坂なんてどこにあんの? 恐怖心をかきけす言葉で彼に返した。こんな坂にビビ っていたらこれから続く坂なんてとうてい困難になるからだ。10歳の息子はこの一言で黙った。
ポートランドのゴールは河口16km幅もある大河の南側。北側からくる我々はこの橋に向かうのに 急坂を上りきらなければならない。息子と共に走った時、僕はこの坂をみて言った。「Ken, look at that hill!」急な坂だね、という意味だった。でも、僕はこの言葉をわざと言ったのだ。そこで彼の口から でてきた言葉が良かった。「What hill, dad?」坂なんてどこにあんの?という極めて力強いものであった。 今年のSTP、息子はいなかったが、僕は同じ坂を上りながら、幼かった彼がSTPに参加した時の 彼との会話を想いだしていた。グラニー(オバアチャン)ギヤにいれて、立ちこぎ姿勢、目いっぱいの 体重を載せてペダルを踏み込む。そして一歩一歩進む。耐え切れずに歩いて登る人もいる。僕は遅いけれど 上りには強い。どんな急斜面でも登る。体重は重力の法則にしたがって僕の最大の敵となるのだが、 脚力だけには自信があるし、降りているところを誰かにみられたらシアトルの自転車男の名がすたるし、 そんなギブアップ根性の僕でもない。

綾乃ちゃんらがゴールイン
急坂を上りきり、セイント・ジョセフ橋をわたる。そしてゴール。200mile320kmのSTPはここで終わった。 僕はPhitenのテントに向かった。そこには笑顔の木下さんと奥さんがいた。このあたりはSTP後の フェストで賑わっていた。出店も多く、ライブ音楽もビート高かった。僕は、その場をかりてタンパンと シャツに着替えた。仲間の二人は少なくとも僕よりも2時間あとだろう。僕は出店などをみてまわった。 案の定、彼等はだいぶ遅れてゴールした。綾乃ちゃんは膝の痛みをこらえてのライドだっただけに、 良くやったという感じだ。僕は95年のSTPでは左脚がつってしまい、それがずっと治らなかった。 そんな脚で二日目の160kmを完走したことがあった。意志あればできることなのである。 走れメロスだってそうだよ。
おのざわショージ
2002年07月25日(木曜日)