ボスは迷文家シリーズ

友人という仮面 (寸借詐欺師の手口)
その虚言癖は病的でもある Compulsive liar


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  約束不履行、虚言の繰り返し、相手の善意を利用して゛友人゛を騙しをする男がいる。悪いことに、この男は友人という仮面をかぶって親しく接してくる。結果、誰もがいとも簡単に彼の手口にかかってしまっている。僕はこの男から、金銭そして時間、そして僕からの好意をかなり吸い取られてきた。この男は見破られるような見え透いた嘘を繰り返す。情報収集、コーディネーション、マッチメーキング、新プロジェクトの下調べ、仕事を組んでやる話しをもちかけてくることが多くある。しかし、全てが整うと、そのプロジェクトを他に持っていく。他人を屋根に登らせておいて梯子を外すのだ。こんな約束不履行を悪気なしにやってのける。被害にあったこの男の゛友人゛は何人もいる。この男は最初から゛友人たち゛の好意をあてにして、゛友人達゛が精通している分野のプロジェクトに゛友人達゛を巻き込む力に長けているのである。この男のズルイところは、プロジェクト元からはしっかりと゛友人達゛に支払う代金を請求していることだ。当然、それが好意の対価として実際に時間を割いて手助けした゛友人達゛に支払われる事はない。この男が繰り返す騙しのやり方は寸借詐欺と変わることがない。相手が゛友人゛たちなので事件にならないだけのことなのである。


僕はこの男のズルイ性格を見抜いていた。しかし彼が見せる憎めない友人ぶりをもって許していた。良く考えてみると、僕は彼と出会う度に何らかの被害にあっている。この男は嘘の上に嘘を塗りたくる。 自分がついた嘘さえも信じてもいるようだ。余りにも嘘に慣れすぎてしまった為に虚言癖になってしまっているのだろう。嘘にも色々ある。普通の人だったら、嘘が相手への敬意に逸するものであることを知っている。だから嘘はつかない。それが相手を敬う気持ちである。しかしこの男にはそれがなく、平気で見え透いた嘘を繰り返し、友人達を上手くごまかしたつもりになっている。嘘とは見破られるものなのに、この男は嘘をつき通したと自分自身信じ込んでいる。

この男がつく嘘は相手を馬鹿にしているものだ。しかし、友人達は余りにも子供じみた嘘に反論をする気持ちにすらならないで、彼の言いなりになっている。しかし、彼と交際して周囲の人が受ける結果は、寸借詐欺による被害と変わることがない。

一年半ほど前のことだったが、同じ詐欺男から利用されて憤慨していた人から電話をもらって、彼のコボシの聞き役になったことがある。同時期に僕も騙されそうになっていた。詐欺男は簡単に見分けられる嘘を平気でつくのだが、嘘をつかれている側にはそれが見え見えなので、彼の嘘をとりあげることすらバカバカしい気持ちにさせられる。この詐欺男とはそんな程度の信用できない男なのである。一年半ほど前に、彼があの手この手(嘘の積み重ね)を使ってきた時、僕は彼から騙されまいぞとして裏で手を回すこともした。こういうことに気をつかわなければならないことはとても疲れるのである。

詐欺男は一年に何度か僕を訪ねてやって来る。日本からの出張者二人もいれて計三人でやってきたことがあった。彼は、ちょこっとだけ手伝って欲しいと僕を事務所から連れ出した。現在一人で事務所を切り盛りしている僕は、事務所を抜ける分だけ売上げが下がる。僕の時間とはお金に換算できるものなのだ。従って、彼のいうチョコッとでさえ、僕にとっては大きな売上げの低下につながるのだ。僕は利用されることは分かってはいた。しかしをれを無碍に断る事もできなかった。ちょこっとだけなら利用されてやってもいいか、そんな気持ちで僕は事務所を閉めて出かけて行った。

行き先で知ったことは、彼のいうチョコットがチョコッとではなかったということだ。詐欺男に同行していた出張者が、当然であるような口調で僕に仕事を与え始めたのだ。予めそういう約束事ができているかのような口調であった。忙しい中、好意で手伝いに来た上で雇人を扱うような口調で扱われればいくらお人好しの僕でも釈然とはしないのである。

僕は手伝いをすることに関しては吝かではないが、、同行していた人の態度から、プロジェクト元がお金を支払って(詐欺男との口契約で)僕を雇ったということが理解できた。代金を支払って僕を通訳として雇う話が出来上がっていたからこその口調と態度であった。僕は出張者に質問をした。「今回、僕がお手伝いする段取りになっていたのですか?」。 彼はそうだと答えた。僕は「またやられてしまった。彼はいつもこうなんですよ。」、という言葉を最後にこの話しを打ち切って、次のもう一件の仕事を手伝うや、その場を後にした。僕の彼らに向ける好意を終わらせた。

この詐欺男のヤリ口はこうだ。「シアトルにいけば英語が上手なオノザワという男がいる。オノザワは僕の友人なので、通訳料とコーディネイト料は僕がうまくまとめる。ちょっと高めだけれども良い仕事をする上では欠かせないので彼を雇う。」 こうやってプロジェクト依頼元からしっかりとお金をとった上で、僕の好意を利用してタダ儲けをしているのだ。僕にお金が支払われることはない。好意でやっている僕はそれでも良いのだが、こちらが忙しくて、事務所を離れることができない時にたっての頼みで出かけた上で利用されたことが分かると、僕はキレテしまうのだ。

詐欺男が他の件で同じことをやっていた時に、何度か架空の請求書造りを手伝わさせられたことがあるので、金銭面での彼の汚さについては予備知識があった。そして三年ほど前から、彼が同様な詐欺的な騙しの手口を僕に向けた時には簡単にそれを見破る事ができた。大雑把な性格で言葉が下手な詐欺男は上手な嘘をつくことができないのだ。 彼が住む場所は、こういった騙しや嘘があたりまえの世界なんだろうか。この世界に生きる人たちは頭脳明晰なのに、彼ほどの低次元な詐欺の手口に騙されてしまっているのだろうか。そんなことはない筈だ。損得を計算した上で、彼のやりたいままにさせているのだろう。

僕の善意を利用して儲けを企んでいるこの詐欺男を友人という位置に置いてきた僕は自分が情けなく思える事がある。これでもか!これでもか!と彼から見せ付けられる嘘と騙しの手口は、僕を馬鹿にしているものでしかない。対人関係でのトラブルを避けて生きることはできないが、友人の仮面をかぶり、意図をもって僕を騙すという人間を、僕は彼以外にであったことが無かったし、金銭面で彼ほど汚い男と出会ったこともなかったから、どこか゛タヌキ゛につままれているような気持ちになってしまう。アメリカでは電話詐欺事件が多発するが、僕はそれらの全てを見破っている。経理担当の女子社員が引っかかったのを食い止めたことも何度かあった。僕は、相手の下心を読む術に長けているのだ。そんな僕に向かってこの男は嘘と騙しをぶつけてくるのだから、僕は疲れざるを得ないのである。

日本からの出張者二人を含んだ今回の手伝いは、その場で手伝いを投げ出してもよかったのだが、二時に重要なインタビューがあるというので、その手伝いを最後にして、その場を去ることにした。この男は僕の挨拶にも値しない。僕は最後の仕事が二時半に終わるや、それでは!と言ってその場を去った。この時、僕の気持ちはこれが詐欺男との最後だというスッキリとしたものであった。

同様な被害を受けているロスアンゼルスの彼の友人(?)から電話がかかってくることもある。サンフランシスコの知り合いも被害を受けている。我々は被害者連絡会議のようなものである。彼が被害を受けていた時には彼から頻繁に電話があった。しかし最近は仕事の手伝いをしていないという。 詐欺男は友達を振舞う限りナイスガイなので、誰でも心許してしまうのだが、彼の心の底には「誰それはどこまで利用できるか」とかそんなものしかないのだろう。しかし友達面をみせられてフレンドシップをメインテインしている時の゛この男゛はどことなく憎むことができない。それで一度は騙されても、彼の憎めない性格をどうしても許してしまうのだ。そして元の木阿弥の関係に戻る。だからロサンジェルスの被害者も、詐欺男のことを再度お友達として彼を認めている。しかし彼はアタマが切れる男なので、利用しあう関係を保つのであろう。

嘘を平気でつく人
英語ではコンポルシブ・ライヤーというが、複合的に嘘の積み重ねて繰り返しているうちに嘘を信じ込むようになる人をさす。この男の場合、詐欺症候群といい、すぐに見破られる嘘の繰り返しといい、彼の性格自体は嘘で作り上げられているとしか思うことができない。彼を良く知るアメリカ人は彼のことをタヌキと呼んでいる。それは彼が分かりきった嘘をつかって騙そうとする手口を見抜いているからだ。僕は、このアメリカ人に何故そう呼ぶのか問いただしたことがあった。タヌキとは正にこの寸借詐欺師に相応しい渾名であると同感していたので、ひょっとしたら同じ見方をしているのかなと思ったからだ。

詐欺男は責任感も薄い。その場かぎりの世渡りが上手である。その場の口約束だけで、あのテこのテを使って他人を利用する事だけを考えてきた。僕の娘に仕事を手伝わせて100ドルを支払うと約束したことがあったが、約束が守られる事はなかった。子供を騙すわけにはいかないので、僕が娘に支払った。あるプロジェクトで、なかなかつかまらない人を紹介した人がいる。彼は条件を与えた。そして詐欺男はそれをのんだ。一年半過ぎた今、その約束が遂行されたことはなかった。この仲介人の信用は傷つけられた。 この他にも彼の約束不履行の例は枚挙に暇が無い。全てを書き出したら彼の悪口になってしまうから、それはやらない。虚言癖の人間が、友人という仮面をかぶり僕のそばにいて寸借詐欺とかわらない犯罪をおかしてノウノウとしている。僕が何度も被害を受けたことだけを書きたかっただけだ。

周囲の人たちからの好意を利用するだけでなく、嘘も平気でついて、約束事を守らないこの詐欺男のことを僕は許しても、彼が僕の友人という立場に復帰することはもうないだろう。僕は利用されたことを知ったあとにいつもこう思う。しかし彼は自分がついた嘘を忘れてしまうので、現実と嘘との交差点が分からなくなって、再び友達面をして電話をかけてくるのだ。それとも嘘に慣れすぎている為に何が本当で何が嘘だかわからなくなっているのかもしれない。嘘を積み重ねた男なので、友人として僕の前に顔を見せる時に罪の意識すらもっていない。僕だけでなく、ズルをやられ続けたきた人たちも、彼を憎めない男として許してしまうのだ。次に彼から電話がかかった時、僕は彼とは何も話すことが無いと言いたいと思っているのだが、その時になってみないとわからない。ひょっとしたら許してしまいそうな気がしないでもない。そうして僕は、久しぶりに目にする嘘つき男の演技にまたまた疲れるだけなのであろうか。

おのざわショージ
08/10/01

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