ボスは迷文家シリーズ |
実践社会学者のススメ
社会学者を目指す青年への毒断異見
HPをみた青年からの手紙
、、、将来は社会学者に なるつもりです。社会学なら日本よりアメリカでやるべきだと思い留学を考えている のですが、どこの大学がいいか教えていただけないでしょうか。これがこのメールを 送らせていただいた目的です。突然で失礼ではありますが、どうかご助言を下さい。
取りあえず用件を先に言わせていただきまして、ここからは僕の事を話します。お忙 しいでしょうから読まれなくていいです。一橋大学の社会学部に2回落ち、今年2浪 が決まりました。落ちておいてなんですが、あんまり行きたいと思いませんでした。 僕は意志が弱いのであの環境では遊び過ぎてしまわなくもないと思ったし、何より学 友を作るのが難しそうだったからです。それでも社会学部ですし、今年受けたら受か るでしょうから、実際留学するのとどっちがいいのか確信が持てていません。社会学 の為にはどうするべきなのかも教えていただけたら幸いです。上記の無知な文章の通 り社会学については全くの素人以下で、その本もほとんど読んでいませんが、これか ら全ての社会学を学んでいきたいと思っています。 留学を思いついたのは昨日の寝る寸前で、大学へ行ってから留学をするつもりはあり ましたので、それなら最初から行けばいいなと思った次第です。それで今日、ネット でアメリカの大学や留学について調べていたのですが、調べ方が悪いのか何も分かり ませんでした。で、YAHOOで「社会学 留学」で検索して適当に見ている時に先生の 文章に出会ったわけです。安い留学の仕方や暮らし方は自分でも調べられるかも知れ ませんが、肝心なのは行った大学で社会学が極められるかということですので、どう かアドバイスを下さい。
いいわけですが夜遅くて頭が働いてません。読みにくく無駄だらけの文章をお許し下 さい。あと、返信をいただけるなら bbbbbにお願いします。じゃま くさければ普通に「返信」して下さって結構ですので、ぜひお願いします。なんだか 失礼極まりないメールになってしまった気がするのですが、突然面識のない人に頼み 事をしているのですからほんとに申し訳なく思います。しかし、ほんとに自分では分 からなくて、ただ調べ方を知らないだけですが、困っています。どうかお願いいたし します。
返事
社会学と知ってすぐにお返事を差し上げさせていただきます。
社会学、、、その中の何をおやりになりたいのですか。 一橋の社会学はトップとされていますが、所詮日本の中の社会学ではないのかな。 社会学“ギョーカイ”の現状を知らずして語っているのですが、日本の学界は一般的には 職業としての社会学者が目立つ感じが強いです。博識だけを売り物にする、知的マスターベーターばかり のような印象をもっています。それを学問とよぶことはできないでしょう。学問が人をベースとしている 限り、応用=実線=行動などを切り離して語ることができないのです。評論家たちもそうですね、エラソウ な知識のご披露をしているだけ。田原総一郎なんてその典型的な例です。その点、欧米には社会参加する 学者が目立ちます。僕が親しくしている二人の社会学者も、社会参加する学者たちです。
グスターボ・ペレツ・ラミレツ博士とジョージ・ドレイク博士。 グスターボはコロンビア出身、、同窓のカミロ・トーレス博士 とともに南米の民族解放運動の中心人物でした。カミロは1964年にCIAと コロンビア右翼によって殺され、グスターボはコスタリカに 逃げ延びました。長い話を短くすると、その後、グスターボは国連本部 に移り平和活動に従事。最終職は国連本部長。人口統計の責任者でした。これも社会学の仕事ですね。 国連で世界人口統計の仕事をするということは、社会学者としてみれば最高の仕事ですよね。 現在はエクアドールのキト市に住み、コロンビアとエクアドールの主要新聞の四紙のコラムニストを やっています。 僕は彼をキト市に二度ほど訪ねています。今年の二月にも会ってきて、現在でも 毎週のようにEmailの交換をしています。彼は行動する社会学者です。
ジョージ・ドレイク博士は、高校を卒業してから自転車でパナマまで進み、米軍にアルバイトを求め、 パナマのジャングルで測量の仕事の助手をやり、その後は任せられるようにまでなったのです。稼いだ お金を浪費するところは当時のパナマにはなく、結果その資金で大学に進学。パナマでは原住民たちと 接触をするようになり、文化人類学的な分野に興味傾倒。UCバークレーの社会学を選びました。カリ フォルニア大バークレー校は世界的に最も進歩的な社会学で知られています。彼は卒業後スタインベック の小説(怒りの葡萄、エデンの東)の舞台で知られているモントレーの高校で教師となり、実際に スタインベックの息子を生徒にもちました。教職を三年ほど終えて学費を稼ぎ彼はベネズエラのアマゾン ジャングルで先住民の部落にくらし、問題意識をしっかりと高めてから大学院へ進み、博士号取得後には コロンビアのジャングルで実際のフィールドスタディーをしたという経歴の持ち主です。彼が最も軽蔑し ている人種が博識披露だけを得意として行動がともなわない学者たちです。彼等を知的マスターベーター と呼んでいます。
現在71歳のジョージは、朝鮮戦争兵役中朝鮮戦争孤児10万人にアメリカの里親をアレンジした功績を もっています。最終職は、Western Washington Universityの社会学部長でした。 今でも多くの"活動"をやっています。僕は、そのうちのひとつに参加させて もらっています。グスターボとジョージによる南米ジャングルの知識と伝統を 保存する為のものです。 ジョージは社会学に興味をもったころから コロンビアやベネズエラからアマゾンジャングルに入り込んで原住民の 中で暮らし、"経験的"知識を積み上げたわけです。
日本の社会学者は図書館知識だけの人ばかりが目立ちます。なにしろ体力がないから行動することも できない。その点、高齢ではあるものの、ジョージは毎日のように50キロ近くの距離を自転車で 走行していまう。日本の学者と比較することすら彼への礼に欠けることです。日本はそんな国ですから、 お茶の間に人たちも新聞や週刊誌そしてテレビや書籍から得た知識だけは凄いヒョーロン家たちばかり がいるのです。しかし、彼等彼女は、かなり高度なことを語っているだけで、何ひとつ行動をとることが できません。語ることは観念的なことばかり。j実際に行動をしている僕に向かって「夢をおえ」とか 理想を語ることことが好きなくせに、本人たちの行動はともなわない。博学知識や理想論のご披露で マスターベーションしている人ばかりです。行動をとるだけのエネルギーや体力がないのでしょうね。 日本人はアメリカに住んでいる人も含めておしなべて体力や健康管理をしないから、行動がなくても 当然ですが。
この傾向は、社会学のみならず他の分野でも同じ、、、。 ジョージは教授時代、、日本からの教授たちからの訪問を受けています。 彼が驚いたことは、日本からやってくる英語教授たちの英語なんですが、 通訳をとおさないと理解できなかったことです。誰もがということではないと 思いますが、教授たちの頭が受験英語中心になっているからかもしれませんね。 応用がきかない英語なんてトイレットペーパーほどの有効価値もないのです。
日本で、伊達正宗がスペインから煽てられて徳川政権を転覆させることを 企んでいたことは史実です。しかし日本史の学者たちは図書館馬鹿ばかりだから スペインが他の大陸で同様なことをやったという比較をすることがありません。 少なくとも僕はそれが書かれた本とであったことがありません。スペインのやり方は 反政府勢力を支援して、政府を転覆させて、そのあとでその国を乗っ取る、、 そのようにして、中南米の殆どの国がスペインの支配化になりました。日本史だと いえ世界史までにも研究をすすめれば、こうした比較も理解できるのですが、 伊達正宗の資料をみていて、そんな比較にお目にかかったことがありません。 この比較はとても大切だと思うのですが、歴史の教科書にもでてきませんね。
社会学者になりたいのでしたら、社会学という広範囲なものに漠然としているのでは なく、テーマをきめてその実践研究に入り、ご自分が持つ問題意識を明確にし、その上 で 大学へ進まれることです。お若いのですから、開発国に入り込んで、現地の大学を 利用させてもらいながら、テーマに没頭されることです。そして最終的に進学される 大学はアメリカが良いのではありませんか? 日本が10と奢って自己満足していた ら、 アメリカの社会学は100です。 さらには日本の教授会ほど進歩が遅れている場はな い ですよ。僕は頭脳流出した学者や研究者たちを何人も知っていて、彼らからそれを 耳にしています。もっともアカデミックな場所が最も保守的なんですから、 良い 研究ができるわけありません。一橋が良いの、どこが良いの、、といっているうちは 社会学はできません。職業としてのサラリーマン学者で箔をきかせるならば別です が。 それは社会学がもっとも問題提起する点の筈です。
おのざわショージ
2002年3月27日