ボスは迷文家シリーズ


Vol.4

ホストファミリー


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ホストファミリーとのトラブルが多いので次に注意

初めに言葉ありき
アメリカは初めに言葉ありきの国、“もの言えば口びるさむし”として言葉多きを蔑む日本とは異なります。日本では大かた、皆がみな毎日の様に同じテレビを観て、同じ新聞や週刊誌を読んで、同じカラオケやゴルフで時を過ごしています。だから、誰が何を考えているかなんて凡そのところ想像がつきます。ファッションやトレンドにしてみたって多くの場合、メディアに扇動/洗脳されているから、如何に十人十色と言ったところでだいたいが皆おなじ釜のなかの米粒、それが五目ご飯だか赤飯なのかもすぐにわかります。友人がニガムシをつぶした様な顔つきをしていても、明日も彼は友達であり続けるとわかります。ところがアメリカではそれが異なり、相手の腹の底が読めません。異なった国の文化や伝統を背負っている異人種異文化でなりたつ米国では、人それぞれの考え方のベースが異なります。だからお互いを知りあう為には言葉しかなく、言葉が唯一の手段なのです。その言葉によって相手の親近性を確認をします。アメリカ人って毎日の様に夫婦同士が“I love you”と言うんだね、とよく日本人は言いますが、こういった背景を背負って生活しているアメリカ人には必要な日常の挨拶であるといえます。だから誰かに何かをしてもらったら、きちんと自分の心を伝えることが必要なのです。

契約社会
アウトローという英語があります。これはインローに対置する言葉で“法”の外(OUT)にいる人という意味。異なった背景を背負った人種で構成されるアメリカでは、法の内外如何で物事が判断されていきます。“貴方のことは宗教、伝統、習慣も分かりません。だから約束をしましょう。これが法律です、これを守っているかぎりお互いのことを干渉しあうことだけはしません”といった社会契約をしているのです。結果的にアメリカは社会契約、即、社会の約束ごとに対してはとても厳しい国となりました。意思表示をきちんとした礼儀挨拶は“私は契約を守っております、ちゃんと仁義も通しています”という確認の伝達をする上でとても大切な演出であるともいえます。人々が日常交すお礼や挨拶は、社会契約をきちんと履行する上での潤滑油の役割を持つという意味では万国共通ですが、均質の日本なら少し位は無視しても許されます。ところが異質人種間の友好バランスを保つことが社会安定につながるこの国では無視できないことなのです。

笑顔を絶やさない、だけどクスクスは駄目
"友達であること"や"感謝している"と意思表示をする上での慣習として必要。日本人には恥ずかしがり屋が多く、初対面の人たちと笑顔で対話することに慣れていません。笑顔で挨拶をして初めて“私は貴方の敵ではありませんよ、友達なんです”と伝えることができるのです。英語もきちんと使えないと、間違いを恐れて無口になりがち、その上、笑顔の挨拶が苦手ときたら、どうしても誤解を生んでしまいます。笑顔は忘れずに! だからと言って、何に対してもクスクス、ゲラゲラと笑ってはいけません。これをやる人は結構多いのです。相手の言っていることが良く理解できない為なのか、ただ笑って誤魔化しているだけなのか、訳が分からないから笑って親密さを示そうとしているのか・・・。 笑いの状況ではないのに笑われて、戸惑うアメリカ人が如何に多いことか。

言葉の間違いを恐れない
日本の教育は文法や単語の理解の正確さを重視するあまり、意思の伝達という言葉本来の目的を忘れています。だからアメリカにくる日本の人たちは間違いを恐れて無口になる人が多いのです。何のための英語教育(これは大学受験のための英語教育でしかない!)なのかわかりません。意思の伝達や感情の伝達が大切なので、文法に忠実に単語を正確にを最重要視することは、会話をする上では弊害以外の何ものでもありません。間違いから正しいことを知る、それでも良いのです。きちんと“嬉しかった、ほんとうに有難う、これはとても美味しかった”と心から云える様にして下さい。

僕の母は英語のエの字も知りませんでした。それでも何度もシアトルに来て、堂々と日本語でアメリカ人たちと話をするのです。レストランへ行けば、大きな笑顔で頭をさげながらグラスを指して“スミマセンお水をお願いします”と云うし、僕の近所のおじさんには、やはり笑顔で頭を下げて“いつも息子がお世話になっています” 全部日本語で通しきります。僕は傍にいて手助けなんかしません。何故?だってきちんと意思や気持ちが通じているから必要ないのです。彼女に英語そして文法がどうのこうのと言ったら、大間違いだらけ、だって英語で喋るべきところを日本語でやっていること自体が落第ですから。だけど間違いを恐れるばかり口を利かない人たちよりも、彼女はきちんと立派に意思と感情の伝達に成功しています。言葉とか会話とかはそういうものです。

挨拶やお礼は大きな声で笑顔をもって
国民一人一人が異なった歴史、伝統、習慣を背負って社会を形成。日本と違って相手の腹の底を見透かすことは難しいという事は先に述べました。相手が何を考えているか理解できない、日本人とすれば分かったような事柄であっても何度も笑顔をもって言葉で確認しあう。これによって“あの人は私の親切を理解してくれたんだ”と初めて理解をする。ところが、日本からの駐在家族、留学生、そしてツーリスト達にはこういった演出ができず、相互不信の原因をつくっています。

客だからといって甘えない
食事の後でテーブルから立ち上がる時には必ず笑顔で“美味しかった有難う”といって立ち上がり(It was very good. Thank you)、自分の使った食器は流しでリンスをしてからディッシュワッシャー(皿洗い機)に入れる。ホストファミリーの人たちは言葉の上ではいいから座っていなさいとは云うが、"I can do it"又は"Let me do this"若くは "I would like to help" といいながら自分でかたづける。

シャワーを使った後は、次に入る人達が不快にならないようにクリーン・アップしておく。
ベッド・メーキングは自分で、必ず元の状態に戻しておくこと。

金のない筈の学生があれこれと買い物に走ることは見るに耐えない
ホスト・ファミリーのいる前で買い物を次々にしない方が印象はよい。一般的なアメリカ人は質素であり、日本人のように無駄使いをしません。アメリカでは物質主義が資本主義の根底を支えていますが、それは日本人の無駄使いとは異なります。彼等のいう物質主義は実質的な家や車やボートなどであり、それでもそういった生き方を恥じて教会で懺悔をします。その償いとしてボランティア活動をしたりするのです。ボートで週末を楽しむ中流家庭のご主人が身につけるスーツは百ドル前後の品が多く、アルマーニとかを選ぶ日本の2DK中流家庭とは根本的に考え方が異なっております。

タバコは程度の低い人達しか吸わない
タバコをすわないホストファミリーだったら、家や車の内外に限らず彼等の周りでは喫煙をしない。レストランで喫煙テーブルに座った場合でも、他の人たちがまだ食事をしている時には相手が喫煙者であったとしても慎む。殆どの空港やレストランは何処も禁煙の筈です。一般的に、アメリカでは喫煙者は自己管理の出来ない人、インテリジェンスの低い人と判断されます。特にウヱスト・コーストではそうです。また喫煙者の間には肉体労働者や不良グループ、そして精神の不安定な女性が多く、頭脳作業に携わる人達は一般的にタバコを吸いません。

バッド・マナーに注意
次の行為はこちらに住む人たちを含めた日本人が気がつかない“みっともない”バッド・マナーです。相手に良い印象を与えようと思うならば注意して避けるべきです。

口に食べ物を入れたまま話す
スープのズルズルピチャピチャとした音や噛む時のクチャクチャペチャペチャ、、コーヒーを飲む時のズーズー、しかもテーブルにハネ散らし乍ら、、、皿やスープボールから口に直接かきこんでいる

以上のこと殆どが日本人たちには出来ないので、マナーが悪いねえと見下されてしまったりお互いに気まずい思いすることが多いのです。決して日本から来る学生たちが悪いというのではなく、家庭で責任、自立、そして作法が教えられてなかったり、親が全部やってしまうので、子供たちにはそれらを訓練する機会がなくどうしたら良いのか知る術もない、だから仕方がないのです。然しそういった理由は先方には通じませんネ?ましてや親達ですら同じ過ちをおかしているので、学生だけの問題でもありません。滞在期間中にイヤな思いをせずに過ごす為には、自立心を出して礼儀や作法をきちんとすべきです。そして“郷に入ったら郷に従え”という考えをもって、アメリカのやり方を学ぼうとする姿勢をもつことがなによりも大切です。

上述の点はアメリカに住む殆どの成人日本人すら分からずにいる事ばかり。留学生も含めてアメリカ社会の中に居ながら日本人村(家族、友人、仕事仲間が日本人で、言葉も日本語)に住んでいる日本人のほぼ皆が皆にあてはまります。然しそれが悪いと批判するものではありません。日本人村にしっかりと引きこもっている彼等にはアメリカ人との接点はあっても、それは一歩日本人村を出たらところにアメリカがあるといった程度でしかなく、生活とか習慣のレベルで深くアメリカ人と付き合うことが出来ていないと言い切れます。彼等はしっかりと日本人社会を基準にアメリカで生活をしるので“郷に入っていながら郷に従えない”のです。どちらを選ぶかは本人の自信が決めるもの。自信のない人は日本人村に所属して安住すれば良いし、そうでなければアメリカ社会に深く入り込んでアメリカ人と同レベルで戦えば良い、それだけの違いです。ですが、その力の違いは長い人生においては大きなものとなります。短期滞在者には無関係のことですね。然し、この訪問をきっかけに将来アメリカとの接点ができた時、ここに述べたことが有効に意味もってきます。

日本人が出来ない英語の発音のコツを教えます。次の通りです。

TH 舌先を上下の前歯で軽く噛みながら"ス"とか"ザ"と発音
(例えば、Thatの"ザ"ッ, Thisの"ディ"ス, 6thのスィック“ス”)
L  舌先を前歯の上歯茎にあてて発音、例えばエルのル
FV 上歯で下唇を軽く噛んで、From,フロムと発音
R  これは説明しにくいので自分で調べてください。

近年のアメリカでは、善意からではなく、副業としてホストファミリー業が一つの産業として形成されました。そういったホストファミリー業の場合は、以上の注意事項をそう気にすることもないのでは?とも思いますが、そうは言わずにこれを機会に自分を磨いてみることも良いかもしれませんね。

11/25/95

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