ボスは迷文家シリーズ


Vol. 85

戦後最大の不況を商品券で乗り越えよう!
とする滑稽議事堂先生方の馬鹿さ加減



企業の命は平均三十年といわれているが、これが一般論として正しいとするならば、ドロップ・アウトしてゆく企業の数を上回って新企業が誕生していかなければ、日本全体として生き残りそして更に発展していく企業の数は増加しない。すれば国の経済活動が低下していくことが目にみえている。現在、この様にして、数多くの企業が倒産廃業海外移転によって日本から消滅している。ところが、この消滅の埋め合わせをせずして、商品券で不況を乗り越えようなんて考えている滑稽議事堂で働く先生方がいるのだから、この馬鹿さ加減たるや、アメリカで日本人をやっている僕は恥ずかしい。これではアメリカのシンク・タンクから軽蔑されても無理もないだろう。

バブルに向う中で数多くの新規事業が誕生した。分社化や企業内企業化もあった。然しそれらの殆どは、一国の生産性の向上とは無縁なサービス業であったり、金融経済、そして物作りからかけ離れた輸入品の流通業ばかり。然し、所詮サービス業の殆どは、自らの脚を食って生きるタコの様なもので、浪費でありこそすれ健全な消費経済を築き上げることをしなかった。

興業を振興し、起業家を育成せずに経済の長期安定があろう筈がない。こういった大切なことを蔑ろにしたまま、カンフル剤的な公共物や道路の建設に税金をつかったり、減税の代わり商品券を配ったところで、焼け石に水だ。経済基盤が強化されることはない。幾千幾万もの新企業が興ってはじめて、次の時代の経済発展の原動力の一部にもなり、雇用の安定にもつながっていくのではないのだろうか。

然し、日本政府のとっている新規事業の育成方針は、どちらかと言えば新事業の誕生をEncourageするどころか、その方針は寧ろそれを妨げるかの様でもある。新株式会社法、税制、家賃、賃金、運輸、光熱費の全てにもあてはまる。 スティ−ブン・ジョブはクーパーテイノにある自宅のガラージから、僅かな手持ち金でアプル・コンピューターをはじめた。ビル・ゲイツしかり、みんな資金など殆ど持たずに新しい会社を興した。アメリカは若いアイデアが実現することに規制をかけない。古い会社は淘汰され、新しい会社が次の時代に国の経済をつなげてくれるということを知っているからだ。

然し、今の政府のやり方では、どんなに良い製品をかかえた企業でも、小さければ小さいなりに資金難に苦しんでいるので立ち行くことすら難しい。 黒字倒産を余儀なくされている。こういった現状に救いの手を伸ばさず、商品券を配ることが不況対策だなんて、、、政府は、既に成功を収めた世界的な日本ブランドメーカーだけを見て、経済の基盤を考えているのであろうか。

こういった大手メーカーは、既に脱日本を果たしたグローバル企業と言っても過言でない。日産のテネシー工場の成功は、日本国内の雇用安定にはつながらないのだ。本田カナダ工場で生産しているシビックやオハイオ工場で生産されているアコードが米国で販売されている。少なくとも米国で販売されているシビックやアコードは、日本では生産されていない。その分だけホンダや日産による日本での雇用の機会が減少しているのである。

日産、ホンダ、ソニー、パナソニック、、、、、多くのメーカーは日本の旗を掲げているが、実際には世界に根を張って存続している。その分、日本からの輸出は激減し、それは税収や雇用にまで影響を及ぼしている。こういった企業の製品をも含めて、日本からの生産と輸出が少なくなっていった。

バブルに向けて静かに進行していた経済構造の変化の最中、バブルに浮き足立った日本は、ルンルン気分でダンスを踊り続け、足元が崩れ落ちていったことに気がつかなかったし、今でも気がついていない。気がついていれば、日本に生産業とそれに伴う輸出業を新たに作らなければならないという発想が出てくる筈だが、誰もそんな事を言わない。挙げ句の果て不況はいつまで続くのかと、まるで不況に期間があるかの様な愚問をメディアさえもが投げかけているありさまだ。 こんな事では、かなりの部分での淘汰が終わらないと、再生はままならないであろう。すでに落ちこぼれていっ
た企業の埋め合わせの努力を怠っていることが、今後の日本経済の発展と安定の上での最大の問題点であることが、日本の国民はもとより政府が気がついていない、又は気がついていても何もやらないのだから仕方がない。

現在の不況から脱出する為にも、ステップを踏まえて地方都市への新企業(サービス業を省く)の誘致、税制面での優遇策などに、不況対策費を振り向けることが必要である。これによって、新企業はコスト安な条件で興業しうるのみならず、人口の地方分散、地方都市周辺でのインフラストラクチャーの充実、住宅費や土地代の収入に対する割合(エンゲル係数)の低下、即、実質的生活内容の向上すら実現できるからだ。

滑稽議事堂で、渋く恰好をつけた大人達が雁首揃えて商品券を配って経済に刺激を!だなんて、、、、。 戦後最大の経済危機に直面していながら、おエライ先生方が、商品券で不況を乗り越えようと真剣に考えているのだとしたら、僕にはルインスキーと執務室でエッチをしたクリントン大統領の方が頼もしく思える。

小野沢昭志 拝
(October 8、1998)




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