ボスは迷文家シリーズ |
近江商人の話です
シアトルの昨夜は、初雪、それも6センチほど積もりました。今朝は、すっかり雪景 色。その為、学校は閉鎖。しかし、僕は8:00に事務所にでて、PMAという写真業 界のトレードショー帰りの訪問客が土産に買ったサーモンを梱包し、今朝9:30に は今朝ホテルをチェックアウトする彼らに届けてまいりました。
一昨日の会話から、僕のメッセージを読み取ったからか、昨日の朝一番で、「お忙し いところ申し訳ない」、と来シアトル中の僕の元勤め先会社社長のお言葉。 昨晩の 別かれ際、そして今朝別れる時、ご婦人の方も「お忙しい中ありがとうございました」 と言ってくれました。われた気がしました。それが、初日のご婦人による「小野沢さんに、 お時間があって(ヒマ)良かった! 市内観光に連れて行ってもらえるのですね。嬉し いです。 明日は小野沢さんがオヒマになった時でけっこうですから、、」というお言葉 では、僕の気持ちがスッキリすることはなかったでしょう
今回のもう一人の参加者、カメラ業界の長老。この方は好々爺の71歳なんですけれ ど、三月のアマゾン・ジャングル行きのリーダーである今年71歳のジョージ・ドレイク 博士とは雲泥の差でした。要は、ジイサマ・ジイサマ然なのです。若さが感じられま せん。「71といえばそういう年なのだから」、というのは高齢サイクリストの知り合いを 多く持つ僕には通用しないものです。
この人は、近江の商人。凄いです。最初の晩、結果的に社長がディナーを支払って くれたのですが、会話の中で、僕に向かって、「こうして、夕食に招待して頂いて、、、」 という言葉が二日前の夕食時にでてきたのです。普通、知らない同士が出会って食事 をする場合、ワリカンだってありうるのだし、僕が彼の立場だったら、仕事を休んでまで して観光案内をさせて申し訳ないので、少なくとも自分の分は自分で払うということにな るでしょう。僕だったら夕食の支払いくらいはさせてくださいと言うでしょう。それをハナか ら見ず知らずの僕にご馳走になると信じ込んだ上での言葉だったのですから、これは 近江の凄さに違い有りません!
こういうことも一度や二度だったら僕としても軽く流せるのですが、僕が日本の外に 住むからか、相手が誰であっても旅先ではやっかいになる、という甘えの気持ちの 日本人が次々と来るので、こちらもマイってしまうのです。海外居住者ならば、多くの 人に共通する経験です。当然、大兄にも何らか似たことがあったとは思われますが、 アメリカ在20年の僕の比ではないでしょう。
昨夜の夕食代は再び僕の元上司が支払ってくれたのですが、この近江(ドケチで有名)の "ご老人"(若さがない)は、一度たりとも支払う素振りすら見せませんでした。この真似は 僕にはできないでしょう。 彼は、一日半、僕の元上司のおかげ、そして僕のおかげで良い 観光をしたのですが、一銭たりとも支払う素振りすらを見せないのです。他の人が彼の面 倒をみることが当然という振る舞いでした。
お土産のサーモンを買おうと元社長が決めた時、このジイサマも買いたくなったのです。 ところが彼は財布を持っていないのです。僕が、「財布を忘れてきたのですか?」と聞いたと ころ、かえって来た答えが何ともすさまじいものでした。 「部屋にスーツケースを運んでもら った時のチップを払えば、後はこうして案内してもらっているのだから、お金を遣う時はない でしょう、だから部屋においてきた」だったのです。
忙しい中、こうやってわざわざ時間をさいてもらって市内観光に連れていってもらっているの だから、パーキング代、飲み物代、ランチ代くらいの支払うはやるだけのキャッシュを持ち 歩くのが普通です。ところが、この好々爺は、他の人が散財することが当然と、 天真爛漫にオンブにダッコして寄りかかっておりました。過去、こういう人たちが ヒッキリなしに僕を訪れる時期がありました。
見知らぬ(友人の友人)という家族四人が僕の家に泊まりこみ、4泊5日で、今日は ここに行きたい、明日はあそこへ連れて行ってくれ、今晩はこういうものが食べたい、、、 さんざん僕らを振り回したあげく、彼らの家族のレストラン代から何から、支払わされ ただけでなく、5日間あちこち運転させられ続けたこともあります。13年ほど前のこと でしたが、それでその後彼らと交際があるわけでもありません。
旅先だから好意を受けるのが当然という日本の大人たちは以外と多くいます。僕が親 しくしている人ならばともかく、見ず知らぬ他人から僕の親切を当然とされるとシックリ しませんね。それでいて僕が日本へ行っても、何一つしてくれることもないわけです。 こちらもそんなことは期待してはいないのですが、電話をしても、この日とあの日は 忙しいので、会うのだったら何日の何時から、、。こんな感じです。シアトルという旅先 では、5日間もの間、ほぼ強引に僕と女房に交互に案内させた挙句のことです。
この時以来、見知らぬ人への好意はしないようにしているのですが、今回のような ケースもあるわけです。シアトルに行けば、小野沢という友人がいるから、あいつに 世話になるといい、、、これが続くと断るほうも疲れます。
でも、僕の知り合いや友人たちだったら僕にオンブにダッコはしません。求めなくと もちゃんとルールを守る人たちばかりです。一番愚厄介なのが、仕事の上でもいつも 得意先からチヤホヤされていた顧客側の人だとか、会計士弁護士のたぐい。いわゆる、 日本の"先生"方たちです。モテナサレテ当然という傲慢な態度は、日本で凌いでいない 僕には通用しないのです。
今回の近江商人は、僕の元社長の元取引先顧客でした。仕事関係がなくなった今で も、元社長に関係するとことからは、モテナサレテ当然という態度なのだろうと思いました。 彼の天真爛漫さは、同じカメラ業界に所属はしても、今では取引関係にないということを 悟り、フェアーな関係にしようとする思考が働いていないことでした。 シアトル行きだって、 見本市中に僕の社長がプライベイトでシアトルに立ち寄るということを知って、予定変更 した上でくっついて来ただけなのです。
僕とこの長老とは初対面でしたので、僕がそこまで彼に尽くす理由はないのですか ら、この人は何を考えているのだろうか、と僕は理解に困ってしまったのです。しかし、 これこそが近江の商人根性と思えば納得もできないことはありませんでした。今回僕は 凄いものを勉強したことになります。過去にも、返却しなくても、追及されることもないだろ うという100ドルまでの額を僕から借りて、そのまま借り逃げした日本人の数々やドイツ人 もいましたが、今回は、それの近江版でありました。門前仲町生まれの僕には真似ので きないことでした。
明日は、「シアトルに小野沢がいるから、、、」という友人によるご推薦で、僕にコンタクトし てきた見知らぬ人のBaby Sittingですが、この人はもっと独立心の強い人のようです。土 曜日僕に会いにくるのに、僕に迷惑をかけることができないからとレンタカーすると言って くれました。当然、僕はレンタカーなんてしないでいいと相手を説得しました。サイクリング をやりたい、というの彼の希望も僕の接待にかなっております。サイクリングでなくともいい のですが、友人でない人の接待の場合、サイクリングというのは大歓迎です。友人は友人 で食事をしているだけでも楽しいのでこれは別です。明日は楽しいものになりそうです。 4泊5日のトラウマから逃れられないでいるおのざわショージより
2001年2月16日 15:05